テニスの事3の続き
◆好きでやっているケースが多い
ここまで書いてきたように、強い手応えを想定して力を入れても、それが報われることはなさそうですが、それなのにどうしてハードヒッターは力を入れてガツンと打とうとするのでしょうか。
「◆力を入れるには相手が必要」のところで「ボールの手応えが強ければ自然に力が入る」と書きましたが、インパクトの手応えが強いことが「力を入れて強く打つ」という物理的に不合理な打ち方になってしまう最初の入り口のようです。
そして、ボールを打ったときの手応えが強いかどうかは、基本的に、使うラケットによって決まります。
つまり、「◆エネルギーの伝達効率」で書いたように、「プレイヤーの運動が打球に伝わらずにボールの飛びが悪い時には強い打球衝撃が発生する」のですが、プレイヤーの運動が打球に伝わるかどうかは使うラケット次第なのです。
さらに、ハードヒッターを自認するプレイヤーは「飛びを抑えたラケット」という名前の「飛びの悪いラケット=伝達効率の悪いラケット」を好んで使う傾向があるのです。
◆「強い力=強い打球」という図式
フレームの性能やストリング・セッティングによって、飛びが悪い状態(=プレイヤーの運動が打球に伝わりにくい状態)に仕上げられたラケットで打つと、強い打球衝撃が発生します。
1.伝わりにくいラケットで強い打球衝撃が発生する
2.打球衝撃が強いとそれに負けまいとして力が入る
3.飛びの悪いラケットでは力を入れないと打ち負けて打球が弱くなる
4.力を入れて強い打球を打とうとし始める
こうした過程で「強い力=強い打球」という図式が頭の中にできてしまうようです。
使っているラケットが合わないほど打球衝撃は強くなり、プレイヤー側にはしっかり打っているという達成感が生まれるのですが、力を入れてしっかり打つほど打球が失速して軽い打球になるので、簡単に打ち返されてしまうのはこれまで書いてきたとおりです。
テニスの事5に続く