3年前に日本テニス協会S級コーチの「重い打球」の解説です。
「重い打球」というのはハードヒッターを自認
するプレイヤーにとっては、とても魅力的に聞
こえるはずです。
でも、そのイメージを実現しようとして、強い
手応えを想定してガツンと打つと、逆に打球は
軽くなります。
多くのプレイヤーの思い込みとは正反対に、
「重い打球」は「軽い打球感」から生まれるの
です。
その仕組について解説させていただきます。
◆力を入れても打球は強くならない
「力を入れて強く打つ」というのがハードヒットの基本イメージだとするなら、そもそも、そこが間違っているのです。
なぜなら、力を入れて強く打っても打球は強くならないからです。
◆力を入れるには相手が必要
力を入れるにはそれに見合う相手が必要で、対象となる相手が無いと力を入れることができません。
硬い壁ならいくらでも力を入れて押すことができますが、フワフワのカーテンは強い力で押すことはできないわけです。
テニスのショットで「力を入れて強く打つ」ときの相手は「ボールの手応え」で、この二つは常にワンセットです。
力を入れて強く打つにはボールの手応えが必要であり、それと同時に、ボールの手応えが強ければ自然に力が入ります。
ボールから受ける手応えが強ければ強いほど打ち返す側も強い力を入れられるわけですが、でも、「ボールから受ける手応えが強い」というのは、別の見方をすると「打ち負けている状態」と言えるのではないでしょうか。
インパクトでボールから受ける抵抗が大きいほど力が入るわけですが、それは一旦ボールに押された上で、押し返しているのと同じ状態だと言えます。
力を入れられるということは、力を入れる際の抵抗が想定されているわけで、インパクトでボールから押されることが前提の行為だと言えるでしょう。
その証拠に、スポンジボールやピンポン玉が相手だったら力を入れて打つことができないはずです。
逆に、飛んで来るのがバスケットのボールだったら、必然的にラケット側がボールに負けてしまうので、そのときに力を入れずに対応するのは難しいでしょう。
ですから、打つときに力が入るのは、打ち負けることが前提のアクションなのです。
テニスの事2続く