テニスの事2「重い打球」
◆力を入れるとヘッドは走らない
さらに、力を入れるという行為は基本的に筋肉を固めることなので、手に持ったものを早く動かすのにはあまり向きません。
ムチをうまく振ると、振られたムチの先っぽの動きが加速するので、それが身体に当たるととても痛いわけですが、そうしたことが可能になるのはムチがしなやかで柔らかいからです。
ですから、ラケットヘッドを高速で動かそうとする際には、身体全体をムチのようにしなやかに使う必要があるわけですが、そういうときに関節や筋肉がガチガチに硬くなっているとスムーズな動きになりません。
先述したように、力を入れるのは強い打球衝撃を前提にした行為なので、そうした衝撃でラケットがブレないようにするために力が入るのですが、それは基本的にブロック系の運動なので、ラケットのヘッドスピードを上げるのには向かない状態なのです。
そして、そんなふうにヘッドスピードが上がっていない状態でラケットがボールとぶつかると、ボールの勢いに負けやすくなるのでさらに強い手応えが発生するため、それに対抗するのにさらに力を入れるようになるという悪循環に陥ります。打球衝撃が小さいほど打球の勢いは出やすくなります。
エネルギー伝達という観点では、「打球の勢いと打球衝撃の大きさは反比例する」ということです。
テニスの事3に続く